生まれる前の死

今週、取り上げた赤ちゃんの中に、体内ですでに亡くなっている子がいました。
「赤ちゃんが動かない」ということで、来院された妊婦さん。私が一番最初にエコーで、動いていない心臓を確認しました。
私の見間違いであって欲しいと、願いながら診察に回しましたが、やはり結果は変わりませんでした。

予定日までもう少し。私が内心あせりながらどうにか動いている心臓を見つけようとしていたとき、母は
「動かないのは下がってきているんですかね?予定日も近いし。早いほうが嬉しいな」
と笑顔で話されていました。
産科医から状況について話されたあと、家族に連絡しすぐに入院となりました。
無痛分娩ですが、下から生まねばなりません。
そのときから予感はしていたのですが、次の夜勤の日私が取り上げました。
亡くなった子を取り上げるのは初めてでした。

いい子でした。
夜中のお産だったので、お母さんも付き添うお父さんもウトウトしていました。
産声をあげないお産の過程を体験する本人、付き添う人にとって、生まれるまでの時間はつらい。
少しでも夢うつつの中で過ぎてくれたのなら、それに越したことはありません。
短い時間で二人に会いに来てくれました。
おだやかな表情で、とてもかわいい姿でした。

子宮というブラックボックスでのアクシデントが原因のようです。
夫婦とも要因となるものがわかり、心の重荷が少しとれたようでした。
このお母さんが、家族が、この子の死を受け止め、受け入れるのはこれからでしょう。
経験の浅いわたしにとっても、この経験はとても重いです。
助産師である限り、いつかは経験することなのですが、私は怖いと思っていました。

でも、実際はその思いは感じませんでした。
二人を支えたい、できるだけ静かな、安心できる状況を提供したいと集中していたせいもあります。
すぐにお母さんが抱き上げ、「かわいい」小さな手や足をさわり、お父さんも頭を愛おしそうになでているのを傍で見ていて、不思議な温かさを感じました。
生きて生まれる、亡くなって生まれる・・・お産は独特のな空間です。
そばで見守る私たちができることは限られているけれど、その中でできるだけのことをしたい。

○週と○日、よく生きたね。
あなたを抱いた人達の腕は温かくて優しかったね。
次はもう少し長い命のローソクを持っておいで。
もっともっと抱きしめられにまたおいで。

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