過去世への旅。
一回目を終えて、考えました。自分でどうにか出来ないもんかと。
だって安いものではないし、往復の交通費と時間もかかるし、終ったあとに「ちょっと一服…」なんてケーキセットを頼んでしまうおいしい喫茶店など見つけてしまったものだから、お金がかかるったらありゃしない。
要は自分でナビして、入り込めればいいわけでしょ。
ということでチャレンジ。
まずは昼間に。
うまいこと過去世への扉をあけられたように思えたのです。
開けたら真っ暗。
しかもなんだか足元のほうから周りの闇と同化した何かが自分めがけて上がってくるイメージが。
なんだか無性に怖くなって、あわてて駆け戻ってきました。
目を開けた後も心臓バクバク。
なんだろ、あれ。こえ~よ![]()
でもすぐに忘れるのです。
今度は寝る前にチャレンジ。
リラックスにこの上もない好条件な状況。
…寝てしまうのです。
体を順々にリラックスさせていたはずが…寝返りしている。
(あれ?寝返りしたよ、いま。ねてたんかいっ!だめじゃんよ~
もう一回もう一回…)
そしてまた寝返りをした自分に気づく、と。そしてあきらめて寝に入る、と。
しょうがないので、2回目の予約を入れました。
2回目。
過去世の扉を開けると明るかった。目をつぶったまま陽だまりに出ている感じ。
「何が見えますか?」
明るすぎて何も見えませ~ん。
…あ、暗くなってしまった。まっくら。
これはこの前“アレ”を感じた時のような状況だ…とちょっとビクビクしましたが、それは現れず。
しばらくすると、自分が座っていることに気付きました。
前回は望遠鏡だか万華鏡だか、そのようなものから覗く感じでしたが、今回はほぼ同化。
私はベッドに腰かけて、自分の腕を見ていました。
部屋は薄暗くてよく見えないけれど、着古した薄茶色の長袖を見ていました。袖は腕の体積を感じさせず、だらりと腿の上に垂れていました。
でもジリジリ…と手がしびれているのです。
もう目には見えない、動かすこともできない手がジリジリ…としびれるので、気がつくと見てしまうのです。
部屋の隅の台所ではアンナがなにか片付けをしている音がしていました。
ベッドは窓のすぐ脇にあって、私は通りに面した窓から通りを眺めました。
活気溢れるそこは、女たち、男たちが行き来しています。
(ああ、明るいなぁ…)
色に満ちあふれた明るい場所。
なんでここはこんなに薄暗いんだろう。
アンナの子どもが部屋に入ってきました。
小さな花束を私の膝に置いて、照れています。
その花束も明るく発色していました。
暗い私の膝で生き生きと発色しています。
私の前にはキャンパスがあります。
ああ、この美しさを写しとりたいなぁ…
頭の中には、目に見えたものをキャンパスにうつしとったイメージが浮かびます。
あとはその通りに筆をとり、動かすだけでそれは目の前に現れます。
でも、その腕が、手がもうないのです。
足で描いてみようと試みました。足の指の皮がむけて痛みます。でもうまくいかなくて。
口で筆を咥えて描いてみようと試したけど、でも思うようにいかなくて・・・
かなしい。
こんなに描きたいのに。
「どうして腕がないのですか?」
聞かれて考えました。
なんでだろう…なんでだろう…
はじめからないわけではなくて、絵を描いている私のイメージも浮かびました。
なんでだろう…
一回暗くなって次のイメージは、遠くから見ていました。
男たちに私は連れていかれました。お屋敷の中に。
石造りの間に連れて行かれてひざまづかされました。
私とおなじくらいの年の若者が笑って立っていました。目は笑っておらず、私を憎んでいることが言われなくてもわかるような、恐ろしい雰囲気でした。
「お前のようなものが夢をみるな。」
「下を這いずっていればいいんだ。」
上から体を押さえつけられ、うつ伏せにされました。
右腕を引っ張られ、斧を持った太った男が私の腕に斧を振り落としました。
叫んでも、身動きできず
「左が残っていたら、左で描くな」
抵抗したけれど、左腕も引っ張られました。
そして切り落とされました。
「どうして腕を切られたのですか?」
なんでだろう…なんでだろう…
考えてもイメージが出てきませんでした。
ただ、涙が出て止まりません。
ただ絵を描いていただけなのに…。
地面に描いていたのが、紙をもらって、キャンパスになって、好きな色を付けられるようになって…
絵を気に入ってくれた人がお店に置いてくれて、描いたものがお金になって…嬉しかった。
一人の女性が浮かびました。きれいなドレスを着た上品な人。
お店に呼ばれて、その人と話をしました。
「とても素敵ね。気に入ったわ」
「今度は私を描いてね。」
嬉しくて、認められたが嬉しくて。
絵をまた描けるのがうれしくて。
そうしたら…男たちがやってきて、その人に絵を描いてあげることはできなくなってしまいました。
「あなたの最後の時に行きましょう」
と言われ、しばらくすると白髪の老人の顔がアップで出てきました。
穏やかに笑っています。
ああ、わたし、長生きしたのかな…と思ったけれど、なんだか違う。自分という感じがしない。
そしてその人のイメージの奥にもう一つのイメージがダブっていて。もう一つは薄暗い部屋の中。ベッドの脚に背を持たせかけて足を伸ばして座っていました。
どちらもいま一つぼんやりしてよくみえない。
どっちが何なんだろう・・
「何が見えますか?」と聞かれても、なかなか見分けられなくてじ~っと目を凝らしていました。
わかった時には泣き出していました。
最後は薄暗い部屋のほう。座っているのではなく、私の首にはベッドの椅子に縛った布切れが引っ掛かっており、死にかけていました。
その意識の中で、思い描いていました。
老人になっても好きな絵を描いて、家族に囲まれている自分の姿を。
なんだこれ。
なんでこんな最後ばかりなんだよ。
あんまりだ。
泣いていたら、「そこから離れましょう」と声をかけられました。
離れようと思ったけど、後ろ髪引かれる。
まだ若い、20代後半の青年なのです。ちょっと長髪の。
なぜだか、ずっと顔が見えなかった。
同化しているときは勿論だし、離れてみているときも下を向いていて見えないのです。
彼はどんな顔をしていたのでしょうか。
近寄ってみたい気がしました。
ふとイメージがわきました。
白い歯が印象的な笑顔。
離れました。
やり残したことは?ときかれ、
女の人に絵を描いてあげられなかったこと、あの人がお店に来た時頭に浮かんだ像を絵にして見せたかった。
そして
優しくしてくれた皆の気持にこたえられず、自分の苦しさに飲み込まれて命を絶ってしまったことをあげました。
手をなくして絵も描けないし、何もできない自分をやさしく励まして支えてくれた人に、生きて恩返しをしたかった。
不思議と手を切られた悔しさとか、その男への恨みは出なかったです。
なんか、わかったからかもしれません。
離れて気づいたことは、その男も絵を描いていたこと。
何かで身分の低い私の絵が選ばれてその才能をたたえられたこと、かれはとても傷ついて怒りに身を任せたこと。
なんだか恨みや怒り、悔しさよりも、描きたかったなぁ、もっとお礼がしたかったなぁ、という思いがありました。
で、次の世では?ときかれ、
好きなことをしたい。
辛くても、死ぬことを選ばずに生きたい。
と答えていました。
なんだか、まっすぐで純粋な人でした。
一心不乱に絵を描いているか、にこにこ人と話しているか、「ありがとう」っていつも言っていました。
もうちょっと恨んでもいいんじゃないかなぁ、とこちらが拍子抜けするくらい、悪い思いがなかったな。
「絵を描いてみるといいですよ」と勧められました。
絵はね、好きですよ。人物画と…なに?空想画?
絵画展とか目につくと入っちゃいますもん。
で、気に入ったのがあると買っちゃう。
手持ちがなくてもローン組んじゃう。
で、あとで我にかえって解約し、なんとか同じものをネットで安く購入しようと奔走して手に入れる、ってなことをしています。
そして終わった後、両手のへんな感じが取れていました。手の指に力が入らない感じ。前からず~っとあって、「神経かな?でも神経からでる症状とは出方が違う」と思っていました。
それが1回目が終わり、肩と首が軽くなったら、顕著に感じられて「あ~、早く次、次」みたいな焦燥感がありました。
それがなくなった感じ。
なんだか無性に手を“にぎにぎ”していました。
そして「過去を知りたい。早く、はやく。今月中に何とかしたい」という焦燥感もあったのですが、それも嘘のようになくなりました。
1回目が終了した時点で、6割くらいは消化され、2回目は自力でできれば行かなくてもいいくらいの気持ちになっていて、2回目終了したら、「もう充分」という気分になりました。
見ようと思えばきっといろいろあるんでしょう。少なくとも女王だった時と修行僧だった時はあるかも。
それらも見たい気はしますが、逆に彼らは何とか生き遂げただろうと思います。
それぞれの人生にも苦しみや葛藤もあったでしょうが、なんとかなったんじゃなかろうかと。
あんまり知らなくっちゃ、という気持ちが起きない。
なんか今回の二つは自分のことなんだろうけど(←ちょっと疑いの気持ちが…)、もう一人の自分がその人生を認めてあげたいなぁ、と思いました。
そうかそうか。
君はそんな人生を送ったのか。
気持ちはわかったから、わかったと思うから、もう縛られず自由になんなさい、と。
まぁ、かといって今回の人生でやり残したという、あれやこれやをできるという保証は全くないけどね。
ま、聞いてはおくよと。
しかし、あれだね。
ちょっと思ったこと。
たとえばこの一連の体験が本当だったとして。
私の脳が勝手に創造したことではないとして。
過去世の記憶が現世の体の痛みや心のブロックで現れるなら。
どうか、ピンクの頭の人の来世には悪い影響がないようにと願います。
首が痛くないように。
自分の辛さを飲み込んで苦しくないように。
なんだか無性に指を動かしたい、とか音楽聴くのが好き!とか、いい記憶ばかり残してほしい。
本当に本当に、お願いしたい。
誰に願えばいいのかわからないけど、
目には見えない、力の源に、お願いしたい。
あ、でももう生まれ変わらないのかも。
「死んだら終わり」って言っていたから。
もう生まれ変わるつもりはなくて、全力疾走で駆け抜けていったのかな。
それならいいです。
ゆっくり休んでほしいです。



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