はまりの道 出港編

連作です。
興味のある方、時間をつぶしたい方はどうぞ。
海外に看護師のボランティアとして行った私。
「たいしたことはできない。過信しない。自分試しに行くんだ」
そうは思いながらも、やっぱり想像するわけです。

頼られている自分。
それに答えられている自分。
現地の人と手を取り合い、喜び合い、酒を飲み交わしすぎていく日々。
・・・まさにテレビで流れる「海外で活躍する日本人」の姿。
そこにたどり着くまでの苦難については想像したけれど、しきれなかった。


実際は・・・。
私は何もしなくてもいいんです。
ただ、「日本」という看板を背負って座っていてくれたら、自分の力を周囲に見せつけられる。あわよくば、日本からの援助を一手に受けられる。
派遣された部署(町の保健所みたいなところ)のトップはそういう考えでした。

「何をしにきたの?」
「言葉もうまく話せないで、そんな子供が(そういったのは、私より6つ年下だった)なにができるの?」
同僚になった人たちが口々に聞きにきます。
悪意もなく、「こっちが聞きたいよっ!」ということを聞いていきます。
私は答えるすべがない。言葉も内容もない。
机はあるけど、やることはない。
毎日来てはそこに座り、時間が過ぎていくのをひたすら待ちました。
一週間がたち、どんどん頭がたれていく私に、話しかける人も減っていきました。

でもあがいてました。
ボランティア期間は2年間。途中では帰れません。
2年間・・・。日本にいて経験を積むのならいろんなことができたでしょう。
その期間、ここに来ることを選んだのだから、
無意味に終わらせたくない、と。
来たことを後悔して、この先の人生過ごしたくない、と。

新聞(特に健康欄)を読み、公用語(スペイン語)のほかに現地語を学び、同僚と世間話をし、派遣された町の健康に関する統計を調べ、自分のできること、住民が望んでいることを探し出そうとあがきました。
話して通じなければ、文で書き、自分が思っていることを知ってもらおうとあがいてました。

でも苦しい。
どうしてこんなに何もできないんだろう。
どうしてこんなに何もないのだろう・・。
なんてちっぽけなんだろう・・・。
日本にいればそれなりにソツなく暮らし、仕事もこなせた私は、日本の外にでたら
口下手で、自分をうまくアピールできなくて、事なかれ主義で、自閉的で、知識・経験の少ない、子どものような存在でした。
そのくせ負けず嫌いで泣くのはいつも「悔し泣き」

部屋にこもり、CDを聞く時間が増えていきます。
「PERFECT BEST」「SPIRITS」の出番が多くなりました。
中でも「ROCKET DIVE」

『例えば旅の途中
君のエンジン空回りで
それでなんとなく虚しくなるでしょ?
何にもないって事、そりゃあ
何でもアリって事
君の行きたい場所へ何処でも行ける』

挫折感に打ちのめされ、泣きながら繰り返し聴きました。
涙と吐くような感情がおさまると、いつもまだ消えない前向きな気持ちがともりました。
まだやれる。
そうだ、0なんだからあとは増えるだけだ。
頑張れ頑張れ。

『そびえるロケット
錆びつく前に発射さ
何度でも打ち上げよう』
やりたいこと、やれそうな企画を同僚の中で、私に興味を持ってくれた人に話していきました。
鼻で笑われても、あしらわれても、
ポコポコ胸の中に小さなロケットがいくつも生まれていたから。
もう一回練ろう。
違うタイミングならokが出るかも。
なんとか、飛び出したいと。

『READY?3.2.1.GO!』
勇気を出して、企画・意見を言う時。
初めて会う人に、自分をアピールする時。
障害を越えても超えても新しいのが出てきて先が見えない時。
踏み出すとき、心の中で、カウントしてました。
途中からは日本から「ja.zoo」を送ってもらい、布袋さんからhideの声でカウントが響いてました。

そうして一年近くもがいた時期を経て、他の町から私と一緒に働きたい、やりたいことがあるんだ、といってきてくれた人がいました。
その後帰国までその人と数は少ないけれど、一緒に考え、悩み、仕事をし、成功を喜ぶことができました。
「うれし泣き」ができました。

人は、自分は、変われる。
望む方向に変われる、という自信がつきました。
ボランティアに来て、理想と現実のギャップに遭い、それを乗り越えられる人、つぶされて酒びたりになったりして心身を痛めつけてしまう人。
最後に私は、この経験を「来てよかった」と本心から言えることができました。
でも、「ROCKET DIVE」という曲に出会わなければ、私もつぶれてしまっていたかもしれません。

しか~し。
「ja.zoo」のほかの収録曲は当時の私には、声がなじめず聞かずじまい。
その絶妙さに気づくのは、さらに数年後・・・・。
続きは 「はまりの道 出港編その2」へ続く
・・・いつまで続くんだ?
書いてる自分が見失いそうだ。

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