命の尊厳

「僕の死はすばらしい!」
byヴァンサン・アンベール

『僕に死ぬ権利をください』という本をご存知でしょうか。
22歳の青年の心の声が綴られています。でも、この本が発行されたときにはもう、青年はこの世にいませんでした。

2003年にシラク大統領に安楽死を求める手紙が届いた、という小さなトピックがありました。
この本には19歳の彼が事故にあい、全身麻痺の状態で約3年を過ごし、懸命のリハビリで自分の意思を伝えるすべを獲得した後、自分の願いを実現するまでの過程が書かれています。

安楽死に対して賛否両論あるでしょう。
本誌の中には彼と似た境遇になり、彼と同様に安楽死を切望したその先に、その状態で生きる楽しみを見出したという人が彼に宛てた手紙の内容もあります。しかし、彼は自分の生を終わらすことを切望し続けました。
その心の動きは自己憐憫ではなく、他者への愛に根ざしたものでした。

“生きるということは”と考えます。
それは人それぞれ。
愛する人のために存在するというのもひとつの形。
愛する人のために、この世から存在を消して記憶の中に生きるというのもひとつの形。

彼は本書の中で言います。
「ほかの人々が、それだけの理由で持って声高に『人生はすばらしい!』と叫ぶのなら、僕はこう言うことができるだろう。『僕の死はすばらしい!』」

考える、ということしかできなくなった彼が、考えに考えて決断した結末に対して「それでも…」と言うには、どれだけの責任を負えれば言えるのでしょうか。

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